2021年12月15日
太陽光発電の基本
太陽光発電+蓄電池のメリット・デメリットとは?今後の必要性を解説
環境にやさしい家づくりや電気代の節約のために、太陽光発電を利用する家庭が増えています。
太陽光発電とは、自宅の屋根などにソーラーパネルを設置して、自宅で消費する電気を自分たちで賄うための自家発電設備です。過去には余剰電力買取制度による電力の買い取りも行われていましたが、現在は新規の受付はされておらず、太陽光発電で得た電力は自宅のみで利用することになっています。
もちろん太陽光発電だけでも電気代の節約になりますが、太陽光発電で作り出した電力を保存する「蓄電池」と組み合わせることで、さらに電力効率を高めることができます。
今回は、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて利用するメリットやデメリット、セット利用と相性のいい条件などを解説します。
太陽光発電と蓄電池をセットで使う理由
太陽光発電は、家庭で使う電力を自分たちでつくれることで電気代の節約になると、戸建て住宅の方から支持されているシステムです。
しかし、太陽光発電設備には発電する能力しかなく、太陽の出ていない夜中には発電することができません。そのため、夜使う電気は電力会社から購入する必要があり、せっかく発電設備があるのに電気代がかかってしまいます。
そこで、蓄電池を使うことで、この問題を解決することができます。
蓄電池とは、太陽光発電でつくった電力を保存(蓄電)することができる設備です。昼間に発電して使われなかった電力を蓄電し、発電できない夜に電力を利用できるようになります。
そのため、太陽光発電を利用するなら蓄電池も一緒に利用したほうが、電力をムダなくお得に利用できるのです。
太陽光発電に家庭用蓄電池を組み合わせるメリット
太陽光発電は蓄電池と一緒に使用することで、電力を無駄なくお得に利用できますが、他にも3つのメリットがあります。
- 非常用電源として活用できる
- 節電につながる
- 自家消費に活用できる
それぞれ詳しく解説します。
非常用電源として活用できる
非常時に電力会社からの供給がストップし停電してしまった場合でも、太陽電池モジュール、分電盤に破損がなければ、太陽光発電で電力を生み出すことができます。しかし、太陽光発電だけでは夜間などに太陽光での発電ができず、電気が使えません。
そこで、蓄電池があれば昼間に発電して使わなかった電力をためて、夜に消費できるようになります。製品にもよりますが、テレビや照明、冷蔵庫だけではなく、電子レンジやIHにも電力供給できるタイプもあるので、非常時にも通常の生活を送ることができます。
節電につながる
電気代の節約を目指して太陽光発電を購入するなら、蓄電池はマストで必要になります。蓄電池を組み合わせることで、日中に発電した電気を夜間に使いたい時や、天候が悪く発電量が消費量よりも少ない時でも、蓄電池から電力を供給できます。
その結果、電力会社から電気を買う頻度が少なくなり、光熱費が安くなるのです。
また、一日の間で一番電気の使用量が多い部分(家庭の場合は夕方から夜間)を少しでも削減し節電する「ピークカット」を利用することでより効率よく節電することも可能です。
自家消費に活用できる
もしFIT制度(太陽光で発電した電力を電力会社に販売すること)が終了して売電価格が下がったり、売電自体ができなくなったりしたら、太陽光発電のメリットがなくなってしまいますよね。
しかし、自家消費型太陽光発電システムに切り替えた場合でも、蓄電池があれば日中に溜めた電気を天気の悪い日や夜に使えるので、節電のメリットがあるのです。
太陽光発電に蓄電池を組み合わせるデメリット
メリットがたくさん得られる中、もちろんデメリットもあります。詳しくご紹介します。
費用負担が大きい
最近では太陽光発電システムが安くなっているとはいえ、家庭用蓄電池と組み合わせるとなればそれなりに高い費用が必要になります。簡単に手に出せる金額ではないのが現状です。
しかし、各自治体によっては補助金制度を設けているところもあるので、事前に確認してみましょう。自治体によっては補助金額や条件が違うだけではなく、補助金制度自体を行っていないところもあるので、そちらも確認しておかなければいけません。
設置スペースを確保しなければいけない
非常用の電源として活用できる定置型蓄電池は、エアコンの室外機二台分程度のサイズになるので、その分の設置スペースを確保する必要があります。屋外タイプのものもありますが、海に近い地域では設置できない可能性もあるのでこちらも確認しておく必要がありますね。
比較的寿命年数が短い
太陽光発電は20年から30年が寿命といわれており、一般的な電化製品と比べると比較的長持ちするといえます。しかし一方で、家庭用蓄電池の寿命は7年から15年程度だと言われています。
費用回収を考えるとなると、費用対効果が難しい場合も考えられます。家庭用蓄電池を導入する際は、費用回収のシミュレーションや対策などを事前に行っておくと良いでしょう。
太陽光発電に組み合わせる家庭用蓄電池の選び方のポイント
最後に、太陽光発電に組み合わせる家庭用蓄電池の選び方のポイントをご紹介します。
- 太陽光発電と連携するタイプの蓄電池を選ぶ
- 蓄電池に必要な容量を計算する
- 停電時にどの電気機器を使いたいかを考える
1.太陽光発電と連携するタイプの蓄電池を選ぶ
まずは、蓄電池の連携方式を確認しておくことです。蓄電池には太陽光で発電した電力をためるものと、電力会社から購入した電力をためるものの2タイプがあります。
太陽光発電と連携するタイプは、発電した電気を蓄電できます。一方連携しないタイプは太陽光発電システムと繋がっておらず、電力会社から買電した電気のみを蓄電します。
太陽光発電と組み合わせることを考えるなら、連携するタイプでないと効率的に電気が使えません。
2.蓄電池に必要な容量を計算する
2つ目は、蓄電池の蓄電容量で選ぶことです。蓄電容量はメーカーや商品ごとに違います。
蓄電池を選ぶ際は、発電できない夜間や天候の悪い期間に、どの程度電力を使用したいかをまず決めておきましょう。必要な電力の計算式は下記になります。
使用する電化製品の出力(W)×時間(時間)=必要な電力量(容量Wh)
一般的な電化製品の電力量例
製品 | 電力(Wh) |
---|---|
電子レンジ | 1300Wh |
ドライヤー | 1200Wh |
エアコン(暖房) | 440Wh |
エアコン(冷房) | 420Wh |
冷蔵庫 | 300Wh |
洗濯機 | 170Wh |
テレビ | 100Wh |
照明 | 40Wh |
携帯電話の充電 | 10Wh |
3.停電時にどの電気機器を使いたいかを考える
3つ目は、停電時にどの電気機器を使いたいかです。蓄電池には特定負荷型と全負荷型があります。
特定負荷型は停電した際、事前に連携した電気機器にのみ使用できます。
全負荷型は住宅のすべての電気機器回路と連携しています。停電時でも通常と変わらない生活を送れますが、消費電力が多くなるため、必然的に容量が大きくなります。そのため、蓄電池本体の費用が高くなる傾向にあります。
蓄電池を非常用電源として使う際のイメージをして、どちらの負荷型を選ぶのかも検討することが大切です。
まとめ
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで次のようなメリットがあります。
- 非常用電源として活用できる
- 節電につながる
- 自家消費に活用できる
購入時は高い費用が必要になるものの、万が一災害が起きたときに家族の命を守ってくれるものになるかもしれません。
蓄電池を購入する際は、次の3つのポイントを比較しながら、製品を選んでいきましょう。
- 太陽光発電と連携するタイプの蓄電池を選ぶ
- 蓄電池に必要な容量を計算する
- 停電時にどの電気機器を使いたいかを考える