2022年2月28日
太陽光発電の基本
太陽光発電の発電効率はどれくらい?その他の再生可能エネルギーとの違いも解説!
太陽光発電を導入するにあたって、発電効率はどれくらいなのかが気になる人も多いでしょう。この記事では太陽光発電の発電効率と、ほかの再生エネルギーと比べて高いのか・低いのかを解説します。
太陽光発電の大まかな発電効率
発電効率の計算式は「発電効率=電気出力/エネルギー×100(%)」です。数値が大きければ大きいほど、効率がよいとされます。同条件であっても、効率がよければそれだけ多く発電できます。太陽光の発電効率は、最大20%といわれています。人工衛星に使われている物では40%とされますが、一般的な企業や個人向きではありません。
変換効率に注目
太陽光発電の肝となるのは、ソーラーパネルの性能を測る指標となる変換効率です。変換効率には2種類あるので、違いについて解説します。
■モジュール変換効率
1平方メートルのパネルがあるとしましょう。パネル1枚の出力が180wなら、モジュール変換効率は18%です。ソーラーパネルは各メーカーが今も継続して、新商品の開発にいそしんでいます。目指すところは「より高いモジュール変換効率」です。ですから、パネルの性能を比較するならモジュール変換効率に注目してみましょう。
■セル変換効率
モジュールは、太陽電池の最小単位「セル」をパネルに組み立てた物です。セル変換効率で計算するのは、「発電面のみの効率」です。モジュールにおけるフレーム面積などは除外するため、モジュール変換効率よりも高い数値が出ます。モジュール変換効率は商品比較に、セル変換効率は各メーカーの研究成果に用いられています。中には、効率のよさをアピールするためにセル変換の数値を大きく取り上げるところも存在します。数字の大きさよりも「何の」数字かを、よく確認しましょう。
その他の再生可能エネルギーとの発電効率の比較
自然現象を生かした発電は、太陽光以外にも風力発電、水力発電が挙げられます。それぞれを導入したと仮定して、発電効率やコストを見てみましょう。
■風力発電
風量発電の発電効率は、一般的に30~40%と言われています。風車を回すときの、摩擦によるエネルギーロスは避けられません。そのため発電効率は、この数値が理論上の限界とされます。初期費用として、kwあたり47万円ほどかかります。
■水力発電
最大80%の発電効率です。再生エネルギー発電の中では、トップクラスです。水路を通る水の摩擦が少ないため、ロスがほとんど発生しません。初期費用はkwあたり132万円です。「だったら水力発電をもっと活用すればいいのに」と思うかも知れません。発電効率の点を見ればその通りですが、発電用地の調達は容易ではありません。風力発電にも同じことが言えます。発電効率と用地調達などを含めて考えると、太陽光発電が最も効率よく電力を得られます。
太陽光発電の発電効率に影響を及ぼす要素
発電効率を左右する要素は3つあります。一つずつ見ていきましょう。
■ソーラーパネル
ソーラーパネルの発電効率は素材によって左右されます。現在の市場は、シリコン系のパネルが9割を占めています。中でも、単結晶シリコンパネルは、高い発電効率を誇ります。一般世帯など、限られたスペースで発電するときに適しています。他に用いられる素材として、化合物系、有機物系、有機無形ハイブリッド系が代表的です。
■気温
一般的に見て、気温の上昇と発電効率は反比例します。ソーラーパネルに用いられているシリコンの機能が、温度上昇によって低下するためです。製品情報に掲載されている発電効率の数値は、気温25度を想定しています。例えば、気温が1度上がれば、発電効率は0.4~0.5%低下します。高温による効率低下を防止できる「HIT(ヘテロ接合型パネル)」というものもあります。高温の地域に設置するなら、このパネルが適しているでしょう。
■設備の使用年数
どんなものでも、使い続ければ次第に性能は衰えてきます。一般的に見て、ソーラーパネルは20~30年、パワーコンディショナーは10~15年ほど持ちます。長期間持続して使えるのは確かですが、手入れをして、大切に扱っていきましょう。
ソーラーパネルの選び方
「発電力の高いパネルなら、何でもいいよ」と思いがちですが、実はそうではありません。考慮すべきところは、発電力以外にもあるのです。
■年間発電量
常に気候が安定して、太陽光がしっかりと当たっていれば問題ないのですが、自然環境ではそうもいきません。さらにパネルが熱に弱く発電量が低下するものだったり、寿命の短いものだったりすれば、結果的にかかる費用がかさむのです。1年のあいだで、積雪量や降雨量の多い地域なら、発電量は低下するでしょう。「年間を通して安定した発電量が得られるか」という視点からも検討する必要があります。
■導入費用・維持費
導入費用や維持費はどうでしょうか。1年間のコストをまずは計算してみましょう。かけた費用が年間発電量に見合うのか、効果的といえる結果を得られるか、慎重に検討してみてください。また、定期的なメンテナンス費用も含めて判断しましょう。
太陽光発電の今後
太陽光発電については、日本だけでなく世界中で開発・研究が行われています。2009年には、日本の大学教授が「塗るだけ」の太陽電池を発表しました。今はまだ研究段階ではありますが、基板に塗るだけの製造法ということで、これまでと比べて圧倒的なコストダウンが期待できます。また、軽量化・曲面加工も可能なため、あらゆるものを太陽電池で動かせるのでは、という可能性も感じられます。
環境配慮の動きがますます盛んになっている今、太陽光などの自然エネルギーを利用した発電は各方面から耳目を集めています。導入を考えているなら発電効率だけでなく、新しい情報もチェックしてみることをおすすめします。