2022年4月28日
太陽光発電の基本
太陽光発電のトラブルと予防法はある?
今回は、太陽光発電のトラブルと対処法を詳しくご紹介します。
環境に優しく、節約にもつながると注目を集めている太陽光発電。
これから太陽光発電の設置を検討している方も多いのではないでしょうか。
導入を真剣に考えたとき、気になるのがトラブルの可能性です。
太陽光発電のトラブルはあるのか、その対処法はどんなものか、具体的に理解しておきたいですよね。
システムの故障によるトラブル事例と予防法
太陽光パネルのトラブルで起こりがちなのが、システムの故障です。
「太陽光パネルが壊れてしまった」「パワーコンディショナが動かなくなった」などのトラブルが挙げられます。
まずはシステムの影響による故障のトラブル事例と予防法を見ていきましょう。
太陽光パネルの破損
太陽光発電ではパネルが故障してしまうと、発電に支障をきたします。
たとえば台風などの強風や地震などが理由でパネルが物理的に故障し、落下すれば、人や民家に二次被害を起こす可能性もあります。万が一人や民家に影響が出れば、損害賠償や慰謝料が発生することもあります。パネルの破損が原因で、出火につながることもあります。
このようなパネルの破損や故障を予防するためには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
設置した業者に依頼して、定期的に問題がないかを確認してもらいましょう。
もし問題があればメンテナンスしてもらい、パネルが破損しないように対策しておくことが大切です。違和感を見逃さないように、発電量の急激な低下が見られた場合はすぐに点検をお願いすることをおすすめします。
パワーコンディショナの発火
パワーコンディショナから発火したという事例もよく挙げられています。
パワーコンディショナは発電した電気を家で使える電気に変換したり、発電システム全体を制御したりする役割を持つとても重要なものです。
消費者庁によると、2017年11月までの約10年間で、太陽光発電から発火した事例は127件もあったと報告されています。そのうちパワーコンディショナからの発火は59件と、決して少なくありません。
発火の原因は、主に施工不良が挙げられます。雑な施工をされたことで施工不良を起こし、発火につながっています。
パワーコンディショナからの発火を防ぐためには、信頼できる業者に依頼することが大切です。実績やネットでの評判をしっかり確認し、信頼できる業者に依頼しましょう。また、定期的なメンテナンスを依頼して、状態を確認しておくことも大切です。
ホットスポットの火災
太陽光発電の中でも不具合が起こりやすいのが「ホットスポット」です。
ホットスポットとはパネルの上に鳥のフンや落ち葉が落ちて影になり、その影の部分のセルがパネル全体の電気の流れを溜めて抵抗となり、部分的に発熱する現象のことをいいます。
ホットスポットが起きると発電量が低下するだけではなく、火災トラブルに発展する可能性もあるのです。ただ、ホットスポットが発生しているかどうかを目視で確認するのはとても難しいです。
ホットスポットが起きていないか確認するには、サーモグラフィーが有効です。
サーモグラフィーを通してみれば、温度変化が起きていないかを手軽に確認できるので、ホットスポットを予防することもできます。サーモグラフィーも価格はピンキリではあるのですが、リーズナブルに購入できるものもあります。
自然災害によるトラブル事例と予防法
太陽光発電は屋外に設置するため、自然災害が起きた際にトラブルを抱えやすいといえます。
最近、日本ではたくさんの災害が起きていますから、しっかり備えておく必要があります。次に自然災害によるトラブル事例と予防法をご紹介します。
強風や大雨による破損
強風や大雨などの災害で、太陽光パネルが破損する危険性があります。
強風で太陽光パネルが飛ばされたり、課題が歪んだり、雨が浸水して機器が故障したりなどのトラブルが考えられます。もし強風で飛ばされた太陽光パネルが家や人に当たってしまうと、大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。
また、浸水した太陽光パネルに触ると、感電する危険性もあります。
ただ、強風や大雨による破損トラブルは、多くの場合業者が施工基準を満たしてしっかり設置しておけば、ほとんどの場合問題が起きる心配はありません。
強風や大雨による破損を予防するためには、信頼度のある業者に頼むことが大切です。業者の実績やネットでの評判などを確認して、業者選びをしましょう。
土砂崩れによる崩落
次に考えられるのが土砂崩れです。大雨が降ると地盤が緩くなり、土砂崩れが起きる可能性があります。土砂災害が原因で太陽光パネルが巻き込まれ、破損する危険性があるのです。
本来、自然の山々には樹木が生い茂り、その根が土壌にしっかりと張り巡らされています。細い根が地盤となる岩石層の隙間にも入り込むことで、層を固定し、土砂崩れを防いでいるのです。
しかし、広く木々を伐採して太陽光パネルを設置している場合、ストッパーとなっていた木々の根も減少しているため、大雨の際に土砂崩れが起きやすくなってしまいます。
安全を確保するためには、設置環境に応じた技術基準が満たしているかを確認しておきましょう。
地震による売電機会の損失
次に考えられるのが、地震での売電機会の損失です。
現在日本では頻繁に地震が起きています。大きな地震の場合は、太陽光発電への直接の被害も考えられるでしょう。
売電機会の損失は、地震の影響で全域停電が発生し、売電を行うための送電網が使えなくなることです。この場合、送電網が復活するまでは待つしかありません。
ただし家庭用の太陽光発電と蓄電池を備えておくことで、大規模災害時にも自家発電が可能となり、電力会社に頼らなくても電力が使用できるというメリットと照らし合わせると、大きな問題としてとらえる人も少ないかもしれません。
業者とのトラブル事例と予防法
太陽光発電のトラブルで起きやすいのは、機器本体だけではありません。
業者とのトラブルもよくある話です。
なかには悪徳業者に騙されて、大きなトラブルになったという事例もあります。次に業者とのトラブル事例と予防法についてまとめていきます。
不当な契約金額
悪徳業者の有名な手口の1つに、不当な契約金額が請求されるというものがあります。
「太陽光発電で売電すれば儲かる」などの常套文句を使い、リーズナブルな金額を提示しながらも、高額な費用を請求していきます。
悪徳業者は考える時間を与えず「もうすぐ国の買取制度が終わる」などと事実とは異なることを言って、決断を急かす傾向にあります。
不当な契約金額を請求されないためにも、即刻決断ではなく、一度冷静になって考えることが大切です。
設置後の雨漏り
業者とのトラブルでありがちなのが、自宅の屋根にパネルを設置した場合の雨漏りです。
雨漏りはほとんどの場合施工ミスが原因です。パネルは屋根に設置した金具に固定させるのですが、その際金具を設置するために屋根に穴を開けます。この時、採寸ミスなどでサイズが異なり、雨漏りを発生させる危険性があります。
注意したいのが「雨漏りとパネルの設置は関係ない」と言われて、修理費用を自分で負担しなければいけなくなることです。
実際に、雨漏りとパネルの設置の関係を自分で証明するのは珍しいので、泣き寝入りせざるを得ないこともあるのです。このようなトラブルを避けるためにも、信頼できる業者を探し出すことが大切です。
太陽光発電の設置実績や、実際に利用した方の評判、補償内容についてもしっかり確認しておきましょう。
工事不良
悪徳業者に騙されると、工事不良を起こされる場合があります。質の悪いパネルを設置されたり、雑な設置をされたりすることもあるのです。
太陽光パネルは長期間利用するものですから、工事不良は致命的な問題となってしまいます。
悪徳業者だけではなく、技術が未熟な施工人が依頼することでも、工事不良のトラブルが起きやすいです。工事不良を起こさないためにも、地域内での口コミはどうか、これまでの販売実績や施工実績などもしっかり確認しておきましょう。
業者の倒産
太陽光パネルを設置したらそこで終わりというわけではありません。
長期運用していかなければいけないので、定期的なメンテナンスが必要になりますし、何か不具合があった時は対応してもらう必要があります。
しかし、販売会社や施工会社が倒産すると、太陽光パネルの不具合やメンテナンスなどに対応してもらえなくなります。長期稼働が前提となる太陽光発電にとっては致命的な問題となるのです。
この場合にも、やはり信頼できる業者を探し出すことが大切といえます。
近隣住民とのトラブル事例と予防法
太陽光パネルを設置することで、近隣住民とのトラブルも起こりやすくなります。
ここからは、近隣住民とのトラブル事例と予防法について見ていきましょう。
太陽光の反射や動作音
太陽光発電パネルを設置すると、反射光が起きます。
実際に反射光が原因で熱中症になった男性が、裁判を起こした事例もあるのです。
反射光を対策するためには、設置する前にパネルの反射光をある程度計算することが大切です。隣の家に反射光の影響が出ないようにしっかり確認することで、トラブルを避けられるでしょう。
パネルに積もった雪の落下
太陽光パネルに詰まった雪が落下したことで、人や民家に影響を与えてしまったという事例もあります。
雪が落下すると大きな力が働き、予想できないほどのトラブルを発生させることもあるのです。対策としては屋根全体にパネルを設置するのではなく、雪止めや落雪防止設備をつけることが効果的です。
草木や雑草などによる発電効率の低下
太陽光発電は些細なことがきっかけで、発電効率が低下することがあります。
それは雑木や雑草なども例外ではありません。一般的には、あらかじめ周囲の環境を計算して確認した上で設置するので、草木や雑草などの影響はないでしょう。
しかし、野立て産業用太陽光発電の場合は、草木や雑草が夏場に伸びるので、その影響で発電効率が落ちる場合があります。対策としては、設置場所をコンクリートで固める、雑草を定期的に処理するなどの方法があります。
自然災害や野生動物によるパネルの飛散
太陽光パネルはしっかり設置されていれば、滅多なことで飛散しません。
基本的に太陽光パネルは自然災害や野生動物の影響があっても飛散しないようにしっかり設置されています。
しかし、正しく設置されていない場合や大規模な自然災害が起こった場合、野生動物が頻出するなどの場合には、稀にパネルが飛散することもあります。
パネルが飛ばされると、たまたま近くを歩いていた人にあたる、隣家の外壁を傷つけるなどの可能性もあるため、業者を選ぶ際にはパネルを正しく設置してくれるか、設置状況をわかりやすく説明してくれるかなどをチェックしましょう。
太陽光発電を自宅に設置する際は業者選びが大切
ここまで、太陽光発電を設置する際のトラブルの事例と予防対策をご紹介しました。
トラブルを防ぐには、基本的に信頼できる業者か見極めることが大切です。
とはいえ、どうやって信頼できる業者を見極めればいいのかわからないと悩んでいる方も多いでしょう。そこで最後に、信頼できる業者の選び方のポイントをご紹介します。
施工実績が豊富な業者を選ぶ
まずは施工実績を確認してみましょう。
信頼できる業者であれば、太陽光発電の施工実績が豊富にあるはずです。
施工実績が多い会社はそのぶん経験も豊富であり、質の高い技術が期待できます。施工実績は会社のホームページに記載されていることが多いので、事前にチェックしてみましょう。
保証内容と保証範囲を確認する
太陽光発電の設置を依頼する際は、保証内容や保証範囲をしっかり確認しておきましょう。
万が一トラブルが起きた際でもしっかり対応してもらえるように、保証内容を確認しておくことが大切です。
設置した後のメンテナンスや、工事に不備があった際のアフターフォローまで、保証内容に入っているかを確認しておいてください。その上で、工事不備や雨漏りなどまでしっかりフォローしてくれる会社を選ぶようにしましょう。
見積書の内容を確認する
業者から送られてくる見積書もしっかり確認しておきましょう。
見積書を確認する際には総額のほか、太陽光パネルにおける品番やメーカーの定価が記載されているか、kWの単価は相場に合っているかなどを確認しましょう。
また、設置費用が極端に安い業者にも注意が必要です。格安な料金設定の場合、なぜその金額なのか納得できる理由があるかを確認しておきましょう。
まとめ
今回は太陽光発電パネルを設置した上で起こりがちなトラブル事例と、予防対策をご紹介しました。
いろいろなトラブル事例をご紹介しましたが、心構えをしておけばトラブルを回避しやすくなります。トラブルを回避するためには、何よりも信頼できる業者を選ぶことが大切です。
信頼できる業者の選び方のポイントもご紹介したので、ぜひ参考にしてみてください。信頼できる業者を見極めれば工事不良が起きる可能性は少ないですし、安心して長期運用を続けていけるでしょう。