2019年5月17日

省エネ基礎講座

【2019年最新版】エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?

エネルギーマネジメントシステムの基礎知識と最新動向をご紹介します。

エネルギーマネジメントシステムとは?

「 エネルギーマネジメントシステム 」という言葉は
おそらくみなさまも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし「具体的にどんな意味なのか?」
詳しく分からない方も多いと思います。

このページではこの「 エネルギーマネジメントシステム 」について
最新動向も交えて分かりやすくご説明いたします。

エネルギーマネジメントシステム ( EMS )とは?

エネルギーマネジメントシステム ( EMS )は簡単に説明してしまうと

  • 1.電気などのエネルギーの使用状況を「 見える化 」する
  • 2.「 見える化 」したエネルギーの使用状況を分析する
  • 3.削減可能な個所を見つけ、経費削減に繋げる
  • このような目的で導入されるシステムを指すことが一般的です。

    「 エネルギーマネジメントシステム 」を略して、Energy Management Systemの頭文字から「 EMS 」とも呼ばれます。

    また同じ略称の環境マネジメント( EMS ; Environmental Management System)や、 EMS (国際スピード郵便)との混同を避けるために「EnMS」と表記する場合もありますが、こちらは実際にはあまり使われていません。

    さまざまな呼ばれ方をしていますが、ここでは主に「 EMS 」と呼んで説明していきます。

    EMS の具体的な取り組み内容とは?

    1.電気などのエネルギーの使用状況を「 見える化 」する

    私たちが普段使用しているエネルギー(電気・ガス・水など)は、月々の利用明細などで使用量や金額を確認することができます。

    しかしながら「いつ?どのように使用されていて、どこに無駄があるのか?」
    見出すのは非常に困難です。これでは経費削減を効果的に実現することはできません。

    そこで使用しているエネルギーの使用状況をまず「 見える化 」し、
    問題点を分析できる環境を整えます。

    使用しているエネルギーを分析できるシステムを導入し、ネットワークを通じてパソコンやタブレットなどに細かい使用状況をデータやグラフとして集約します。

    2.「 見える化 」したエネルギーの使用状況を分析する。

    そして「 見える化 」することで
    「いつ?どこで?」電気などのエネルギーが使われているか?

    「どこに無駄があり、どこに改善の余地があるのか?」分析することが可能になるのです。

    3.エネルギーの削減可能個所を見つけ、経費削減に繋げる。

    分析した結果を受けて、具体的な取り組みを実施。 見える化 が出来ている為、取り組んだ対策の効果測定もおこなえます。

    また、一度システムを導入すれば、繰り返し分析と改善を重ねる事で、効果的な削減を繰り返し積み重ねていくことができるのです。

    EMS の具体例「 ピークカット 」

    EMS の取組内容についてご説明しましたが、より分かりやすい例をご紹介します。

    エネルギーマネジメントシステム による省エネにはさまざまな方法がありますが、特に企業でも一般家庭でも取り組まれているのが「 ピークカット 」です。

    ピークカット とは?

    私たちの使用している電気の基本料金は、
    過去一年間で最も多く使用した時間帯の使用量で決まります。

    この最も多い時間帯の使用量を抑え、基本料金を抑えることを「 ピークカット 」といいます。

    1.電気の使用状況を「 見える化 」する

    まず ピークカット するにあたって、
    どの時間帯の使用量が多いかを把握できなければ、抑えることはできません。

    まず電気の使用量を時間ごとに「 見える化 」します。

    2.「 見える化 」したエネルギーの使用状況を分析する。

    「 見える化 」した電気使用量を図のようにグラフ化して確認すると、どの時間帯に最も電気を使用しているかが分かります。
    使用電力の時間帯別グラフ

    3.エネルギーの削減可能個所を見つけ、経費削減に繋げる。

    分析した結果を受けて、具体的な対策を行います。

    例えば「 蓄電池 」を導入済みであれば、使用電力の少ない時間帯に 蓄電池 に充電しておき、昼の時間帯に放電することで、昼の時間に電力会社から購入する電力を抑えることが出来ます。
     ピークカット

    継続的に分析し改善

    他にも空調を抑えるシステムを導入する、日中は太陽光発電から電気を調達して電気の購入を抑えるなど、その後も分析を行うことができる為継続的に使用する電力を抑えていくことが可能になります。
    PDCA

    このように、 EMS とは文字通りエネルギーをマネジメントすることで、使用している電気状況を 見える化 し、削減箇所を見出していくシステムです。

    EMS の種類

    EMS とはどのようなシステムなのか?お分かりいただけたところで、
    「 EMS の種類」について解説して行きたいと思います。
    同じ EMS でも、導入される設備によって呼び方が異なってきます。

    H EMS (Home Energy Management System)

    「ヘムス」と読みます。Home Energy Management Systemの略称。
    つまり一般家庭に導入する EMS のことを言います。

    B EMS (Building Energy Management System)

    「ベムス」と読みます。Building Energy Management Systemの略称。
    ビルなどの設備に導入する EMS のことを言います。

    F EMS (Factory Energy Management System)

    「フェムス」と読みます。Factory Energy Management Systemの略称。
    工場設備に導入する EMS のことを言います。

    C EMS (Community Energy Management System)

    「セムス」と読みます。Community Factory Energy Management Systemの略称。
    地域内のエネルギー監理システムのことを言います。

    これらは全て EMS と呼ぶことができますが、家庭や工場、ビルなど導入する設備によって目的やアプローチ方法が異なってくる為、それぞれ別の呼び方をします。

    EMS が注目されるようになった背景

    「エネルギーマネジメント」という言葉を耳にするようになったのは、近年のことだと思います。

    古くは1970年代のオイルショック、1997年に地球温暖化対策として定められた京都議定書などを機会に、省エネの必要性が論じられてきました。

    しかし更に社会全体で省エネに対する意識が高まったのが「東日本大震災」です。

    この東日本大震災から、再生エネルギーの普及とともに、 エネルギーマネジメントシステム が注目されるようになってきました。

    2018年以降のエネルギーマネジメント市場

    2018年7月の市場調査でもある「2017 エネルギーマネジメントシステム 関連市場実態総調査」によると
    2016年の EMS 市場は1,284億円(家庭分野465億円、産業分野819億円)。

    2025年には2,719億円(家庭分野1,544億円、産業分野1,175億円)に成長する見通しとなっており、およそ2倍以上の成長率が期待されています。
     EMS 市場の未来

    産業分野:IoT/ビッグデータソリューションとの連携で大きく拡大

    現在の EMS は「エネルギーコスト削減」を目的とした導入が一巡し、新しいものに付け替える「リプレース需要」が中心になっています。

    しかしこれからは、IoTやビッグデータソリューションの発展に伴い、設備監視や予防保全、空調管理などのエネルギーコスト削減に留まらない多機能な EMS が発展していくと考えられています。

    家庭分野:ZEHの普及やエネルギーの自給自足ニーズで拡大

    家庭分野においては、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウスの略。再生可能エネルギーやH EMS の導入によりエネルギーの購入を抑えた住宅)やエネルギーの自給自足が普及し、2025年には2016年の3倍の市場になる見通しとなっています。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか?

    「エネルギーマネジメント」は、エネルギーの使用状況を 見える化 し、省エネをより効果的、継続的に進めて行くためのシステムであることがお分かり頂けたのではないかと思います。

    また、今後2025年までに2倍以上に成長する市場としても注目されており、IoTやZEHなどの普及に伴い、より優れたシステムが生まれてくることが期待されます。

    本サイトでも、今後の最新動向も交えて市場状況をご紹介していきたいと思います。

    EMS 導入をご検討されている方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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