2022年1月21日

太陽光発電の基本

太陽光発電の耐用年数を解説

太陽光発電の耐用年数を解説します。

雨

太陽光発電は1年や2年の短い期間ではなく、何十年にも渡って使用するものです。確定申告を行う場合は、太陽光発電の導入費用を法定耐用年数に基づいて毎年費用にできます。ただ住宅用の太陽光発電の場合はそれほど売電収入が大きくないため、確定申告が必要ない場合もあります。少し複雑ですので今回は太陽光発電の耐用年数について詳しく説明していきます。

減価償却するための耐用年数とは?

減価償却とは1年以上使用することが見込まれる固定資産の購入費用を、購入した年に全額費用計上するのではなく、何年かに分けて費用計上することです。

■法定耐用年数とは
何年で費用にするかは固定資産の種類毎に法律で決められており、軽自動車であれば4年間、普通自動車であれば6年間で減価償却を行うと決められています。たとえば100万円の軽自動車を購入した場合は100万円÷4年=25万円/年と計算し、1年間で25万円費用計上し、これを4年間継続します。0円になるまで償却するのではなく、残存価格を1円残すのが通常です。この例でいえば最初の3年間は25万円ずつ費用化していき、最後の1年は24万9,999円を費用化し、1円は備忘記録として残します。実際に10年間軽自動車を使用したとしても、費用計上は4年間で行い、5年目以降の費用計上は0円となります。このように実際に何年使ったかに関わらず、法律で定められた年数で費用化していきます。この期間のことを法定耐用年数といいます。

■定額法と定率法
減価償却の方法には定額法と定率法があり、毎年同じ金額を費用計上する方法を定額法、毎年同じ償却率で償却する方法が定率法です。先ほど紹介した100万円を25万円ずつ4年間で償却する方法は定額法です。定率法で100万円の軽自動車を4年で償却する場合は、1年目が100万円×50%=50万円、2年目は購入価格の100万円から1年目の償却額50万円を引いた50万円に50%を乗じた25万円が償却額です。3年目は購入価格の100万円から1年目の償却額50万円と2年目の償却額25万円を引いた25万円に50%をかけた12万5,000円が3年目の償却額です。4年目は残存価額1円を残した残りの12万4,999円が償却金額です。このように定額法は毎年同じ金額を償却(費用化)しますが、定率法は同じ金額ではなく残った価格に対して同じ割合を償却(費用化)します。定率法の特徴は1年目の償却金額が最も大きく、その後金額が下がっていく特徴があります。

太陽光発電の法定耐用年数

太陽光発電の機器にも定められた法定耐用年数があり、法定耐用年数は17年です。これは太陽光発電の導入費用を17年間に分けて、毎年費用にできることを意味しています。手続きは確定申告で売電収入やかかった費用を申告します。費用の中には太陽光発電の取得費用の1年分が計上できます。しかし住宅用の太陽光発電は10kW未満のものがほとんどで、売電収入も事業用に比べて少ないです。確定申告が必要な要件としては、給与所得や退職所得以外の所得が年間20万円を超える場合とあります。会社員で給与所得と退職所得以外の収入が売電収入で、収入金額が20万円を超えなければ、確定申告を行う必要がありません。よって収入が少ない場合は売電収入に課税されることがなく、費用としても減価償却費を計上する必要がありません。確定申告が必要な場合は、売電収入と1年間の減価償却費を費用として申告することで、その差額に対して課税されます。もちろん他の収入や費用があればそれらを考慮した上で納税額が決まります。収入より費用が多ければ、所得税は課税されません。不明点がある場合はお近くに税務署に電話をして所得税の担当につないでもらうと回答してくれます。

実際、太陽光発電は何年使えるの?

ここまで法律で定められている法定耐用年数と太陽光発電の法定耐用年数について解説してきました。すでに説明したように法定耐用年数と実際に使える年数は別です。法定耐用年数より早く使えなくなる場合もありますし、それ以上に長く使える場合もあります。太陽光発電システムの機器には、太陽光発電パネルやパワーコンディショナ、接続箱やケーブル、設置架台などがあります。機器によってどれだけ使えるかは変わってきますが、金額的に大きい太陽光発電パネルの寿命は20年~30年です。国内メーカーの多くは20年以上の発電保証を行っています。パワーコンディショナの寿命は一般的に10年~15年で太陽光発電パネルより短いです。有償で15年や20年の保証サービスを用意している企業もあります。メーカー保証や企業独自の保証を事前に確認しましょう。ケーブルなどの周辺機器の寿命は設置環境によって大きく変わり、紫外線による腐食や劣化によっては故障や交換の頻度が多くなる場合もあります。

まとめ

今回は太陽光発電の耐用年数について説明しました。法定耐用年数によって費用にできる期間が定められており、住宅用の太陽光発電の法定耐用年数17年です。償却方法には定額法と定率法があり、定額法は毎年同じ金額を減価償却(費用化)していきます。定率法は同じ割合を減価償却(費用化)する方法で、1年目の償却金額が最も大きくなります。確定申告を行わない場合は、法定耐用年数を意識する必要はありません。確定申告が必要かどうかわからない場合は、税務署の所得税担当に問い合わせをしましょう。決められた法定耐用年数とは別に実際に何年使用できるかどうかはメンテナンスの状態などにより変わります。太陽光パネルやパワーコンディショナの保証内容や保証期間を、しっかりと確認して、太陽光発電の導入をすすめてください。